ある日、二十歳だという、えらい大人っぽい女の子の接客をした。スカートを試着し、それに合わせたトップス、二点がすぐに決まった。
そしてまた、ちがうスカートも試着。よぅーーし、このままトータルやったるでー!
彼女と話は盛り上がり、レザーのコーナーへ。えらく気に入ったジャケットは三万五千円。
OLなら可能性はあるけどハタチだし…五分五分って感じやなあと思っていると、
「すごいカッコイイねえコレ欲しー。ちょっと聞いてくるぅー」と言って彼女が連れてきたのは、異国の人だった。
ええーーーナニジン?直感でインドあたりかな?ガイジンさんは年齢不詳な人が多いけどこの方も例外ではない。
しかし確実に十五は違うだろう。タッパもあってかっぷくもいい。うそーんどこで知り合ったん?本当につき合ってんのーん?
頭の中はクエスチョンマークのオンパレード。
そして彼女は女優になった。
「このレザーのジャケットなんだけどぉすごくカッコよくて欲しいけどどうしようかナとオモってぇぇ」
彼は私の目を見ながら優しく微笑み言った。
「カノジョトテモステキデショウ?コレトテモニアウネェ。アナタコレ好キデショ。」
デハ問題ナーイというジェスチャーとステキステキを連発した後、女優のセリフは「すごく気に入ったけど高いから…うーん」
「ダイジョウブ。ダイジョウブ。」こういうやりとりがしばらく続いて「コレもイッショニ…」とレジ台の洋服たちを指した。
女優の勝ちーーー!見事にかわいくおねだり成功で賞を受賞したのでした。
途中、彼はケータイで仕事の話をしているみたいでかなり偉い人らしく、支払いもさすが、キャッシュで七万をポーンと出した。
まだ財布の中には諭吉さんがたくさんスタンバっていたのもスゴかった。はぁーーーいるとこにはいるんだね金持ちが。
この接客で知った事は、外国の男の人はとても女性に優しく、ちゃんと誉める。
そして彼女のしたたかさ。すぐに女優になれた彼女もすごいけど、あんな優しい人を金づるとして遊んだりとかしないでね。私からのお願いよ。
その後ブーツを買ったらしく、二つの大きな袋を抱えた彼が楽しそうに彼女と話していた。もう一回言うけど、忘れないでね、私のお願いを。
シリーズ・わたしの好きなもの
あなたは誰?三人目のスキスキスー
生クリーム。チョコレート。たらこ。ドラゴンボール。犬夜叉。ミスチル。 温泉。バーベキュー。ミルメークコーヒー。
三角パックコーヒー。本田のコーヒー牛乳。戦隊ヒーロー。ウルトラマン。仮面ライダーアギト。堤真一。渡部篤郎。花火大会。
ピアノ。ガチンコ。ヤヌスの鏡。心霊話。心霊写真。UFO話・戦時中の話。うまいコーヒーとタバコの時間。映画。ニコラス・ケイジの変な顔。
タッキー。雑貨屋。タイタニック。足の毛抜き。かわいい袋。紙袋のにおい。ラッピング。歴史のドリル。マルキンのかき氷。
シャリシャリのソフトクリーム。オールディーズの曲。ブラスバンドの曲。唇の皮むき。あいのり。ヴィレッジヴァンガード。
本屋。吉牛。豚肉の脂身。豚レバー。ゆで卵。コーヒーゼリー。声優。冷たいお茶。ご飯が食べたくなるおかず。
旅。祭。ズバリ。サイフの大量の小銭。フリマ。虫のいない世界。
byはっぴい乳いやー ん
夏美のチチンプイプイ
◆チャオ!夏美ちゃん。とっておきのおまじないを紹介するね。ティッシュの上で黒い鉛筆の芯をけずって「ゲブラー」と唱えるの。
その上に赤鉛筆の芯をけずり落として「マルクト」と唱えて。この粉をよーく混ぜ合わせてティッシュに包み、
翌日、彼の机の奥になるべくめだたないように入れてね。何日かたつうちに、彼の熱い視線を感じちゃうから。(栄町・ユーホー)
◇自分の机の奥にそんなのが入ってたらビックリね!もしティッシュがやぶれちゃったら教科書やノートは汚れて迷惑この上なしってカンジ?
きっとカレだって、日頃からストーカー予備軍的行為の絶えないあなたの仕業だって気づくハズ。見つめられることうけあいネ!みんなもためしてみてね〜
ビリアンでいいの? 文・半骨ギャルマン
失敗だって、行動しないよりマシというものだ。 ジャケ買いした一枚は六十年代の黒人グループ。
ちょうど訪れた友人と、期待しながら封を開ける。全曲インストゥルメンタルだった。《全員で唄いだす、ゆかいな仲間たち》という読みは見事に外れた。
しかも全曲同じに聞こえ、たちまち萎えた。
否応なしにもう一枚に期待がかかる。新しめの邦楽ロカビリー。ギョギョームを彷彿とさせるジャケ。中一英語なみの曲名センスに脳がピクピクする。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
中三の頃、近くで男子が二人、話していた。
「お前、卒業したらパンクとロカビリーどっちになる?」
選択肢は二つしかないのか。そしてパンクスではなく「パンク」になるとは何なのか。私もがんばれば「ロカビリー」になれるのか。
もしやこういうこと?『俺の生き様はパンク。パンク魂は相当なもんだぜ。最高にアナーキーだぜ。パンクといえば俺。
つうかむしろ俺の存在自体がパンク?みたいな?』…まさか。
相手の男はちょっと自信なさげに「ロカビリー」と言った。
「はーん。ロカビリーって、例えば何聴いとるんよ」
「…ブラックキャッツとか…」
「それだけかよ。他に聴いてないんかよ、だっせー」
学ランの下は袖なし網網シースルーの奴にいわれる筋合いはないと思うのだが、いわれた男のほうも、
当時私の机の中からバクチクの歌詞カードを盗んだ疑惑があったため、同情も半減なのだった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ギョ臭漂う邦楽ロカCDの、意外な声の高さにおじけづく。いや…こんなのたいしたことじゃない。
よし、曲は…がっかりするほどじゃないよ。まあまあこんなものだろう。買ってよかったんだよ。
だが次にストレイキャッツをかけた時、友人がつぶやいた。
「やっぱりさっきの失敗だったんじゃ…」
言うな。自己暗示も失敗…
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